日和見菌について管理栄養士が特集しました!

みなさんは「日和見菌」をご存知ですか?
初めて見た!なんて読むの?一体何者?などなど様々な声が聞こえてきそうですが、実は、私たちの腸内にすみついている微生物なのです。
今回は、この日和見菌についてお話します。

※当記事は管理栄養士の服部明日香が執筆しました。

Contents

日和見菌とは

この微生物、「ひよりみきん」と読みます。
日和見菌は腸内細菌の一つで、腸内フローラを作っています。

腸内フローラとは、様々な腸内細菌が種類ごとにグループを作って密集しているところのことを指します。
この密集したところがお花畑のように見えることから、腸内フローラといわれるようになりました。

そんな腸内フローラを作っている日和見菌、そもそも「日和見」という言葉の意味をみなさんはご存知ですか?
辞書で意味を調べてみると、「有利な方につこうと、形勢をうかがうこと」と記載されています。

つまり、日和見菌は常に、有利な方につこうとする細菌なのです。
では、常にどのような細菌の様子を伺っているのか、それを知るには、腸内フローラについてもう少し詳しくお話しなければなりません。

腸内フローラは3種類でできている!

さきほど少しお話した腸内フローラですが、日和見菌の他に善玉菌と悪玉菌という2種類の腸内細菌が存在するのです。ここからは、それぞれの特徴についてお話していきます。

善玉菌とは

善玉菌とは、私たちにとって良い影響を及ぼしてくれる細菌です。
代表的なものとして、乳酸菌やビフィズス菌、麹菌や酵母菌がそれにあたります。
これら善玉菌が活動してくれると、次のような効果が期待できます。

腸内環境の正常化

乳酸菌やビフィズス菌は、腸内でブドウ糖などの糖類から、乳酸や酢酸という酸を産生します。
この酸が、腸内の粘膜を保護し、腸内環境を正常にしてくれます。
このことによって、免疫力アップなどの効果が期待できます。

整腸作用

善玉菌の産生物や代謝物が、大腸の動きを刺激し、便を押し出すお手伝いをしてくれます。

ビタミンの産生

善玉菌の中には、ビタミンB1、B2、ナイアシンなどの肌の代謝に関わるビタミン類を産生してくれるものもいます。

悪玉菌とは

悪玉菌は、私たちにとって悪い影響を及ぼす細菌です。
代表的なものに、大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌などがあります。
これら悪玉菌は、ストレスが溜まったり、偏った食事を続けていたりすると活発に活動し、

  • 便秘
  • 肌荒れ
  • 疲労感
  • 体調不良

などの症状を引き起こす原因の一つとなります。

優勢な方の味方をする日和見菌

やっと今回の主役、日和見菌の登場です。
最初の「日和見」という言葉の意味、善玉菌・悪玉菌の特徴についてお話したことで、ピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

日和見菌は、善玉菌・悪玉菌の様子を見て、優勢な方の味方をする細菌です。
日和見菌の代表として、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌などがあります。

善玉菌の味方をしているときは、善玉菌とともに、私たちにとって良い影響を及ぼすはたらきをしてくれたり、悪い影響を及ぼさないよう大人しくしてくれたりしています。

しかし、悪玉菌側の味方についてしまうと、悪玉菌の特徴でお話した症状をさらに悪化させようとはたらき出します。
また、免疫力が低下しているときには、日和見感染症という感染症を引き起こす可能性があります。

日和見菌感染症について

日和見感染症とは、健康な状態の人には害がないような、弱い細菌やウイルス(日和見菌)によって引き起こされる感染症のことです。
糖尿病や腎不全などに罹患している人や高齢の方など、免疫力が低下している人がなりやすいといわれています。

また、病院に入院している人が発症する場合もあり、院内感染も問題になっています。
症状は、感染した細菌やウイルスによって様々で、肺炎や敗血症、胃痛やひどい下痢に襲われることもあります。

日和見菌がいかに恐ろしいかお話してしまいましたが、免疫力が極端に落ちていない、善玉菌の味方についている限りは、悪さはしないのでご安心ください。

それぞれのバランスが大切

それでは、悪玉菌や日和見菌が悪さをしないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。
それには、腸内フローラのバランスが重要になってきます。

一般的に腸内フローラの理想的なバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7と言われています。
日和見菌が多くを占めているのが分かりますね。

何度も説明しますが、日和見菌は優勢なほうの味方をする細菌です。
この理想的なバランスで見ると、善玉菌が悪玉菌より多いので、日和見菌は善玉菌の味方をします。

もし、悪玉菌のほうが多くなってしまった場合、多くの日和見菌は悪玉菌の味方について、私たちに思いきり攻撃してくるのです。
それじゃあ、悪玉菌をゼロにすればいいのでは?と思ってしまいそうですが、善玉菌は悪玉菌がいないと、善玉菌としてのはたらきをサボってしまうのです。

ですから、悪玉菌はいつつも、善玉菌が優勢の状態を保つことが大切なのです。

バランスを保つにすべきこと

腸内フローラのバランスを保つためには、
・お肉や脂の多い食事ばかり食べない
ということも重要です。
高タンパク質・高脂肪の食事は悪玉菌の好物でもあります。
もうちょっと詳しくまとめましょう!

ヨーグルトや乳酸菌飲料、発酵食品を食べよう!

これらには乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれています。
また、味噌や醤油、漬物や納豆などの発酵食品には、麹菌や酵母菌、納豆菌といった善玉菌
が含まれています。

オリゴ糖や食物繊維を摂ろう!

大豆やゴボウ等に含まれているオリゴ糖や食物繊維は、善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やすはたらきがあるといわれています。

お肉だけでなく、魚や大豆製品、野菜などバランスよく食べることが、腸内フローラの平和を保つ秘訣と言えそうです。

日和見菌 記事執筆者情報

服部明日香
日和見菌 詳細を執筆した管理栄養士、服部明日香のイラスト画像

【経歴】
地方女子大学卒業 管理栄養士
化粧品OEMにて研究開発

大学在学時には同学科の友人10名で食育推進サークルを設立しました。
このサークルでは、外部の方々からの依頼を受け、レシピ作成や調理実習を混じえた食育などを行いました。

①某企業様からの依頼
アカモク(ぎばさ)を使用したレシピを3種類作成(アカモク入りパン、キッシュ、炊き込みご飯)
上記のレシピや調理の様子は、冊子に写真付きで掲載されました。

②某一般社団法人様からの依頼
東日本大地震を経験した点から災害食を考えてほしいとのことで、味噌玉を提案(お湯をかけるだけで出来る味噌汁の素)
また、食育イベントとして、幼稚園の年長~小学生を対象に災害食作り実習を実施。
(味噌玉の作り方もお伝えし、一緒に作って試食しました)

卒業後、医療機器メーカーにて営業として勤務した後、現在は化粧品OEMにて研究開発をしています。
また、フリーランスの管理栄養士として活動している友人のお手伝いもしております。
具体的な活動は下記の通りです。
①横浜港で開催された某イベントで山形県産のりんごとりんごジュースの販売。
(目的:東北の食材を紹介し、来場者の方々に購入していただくことで生産者を応援する)

②某一般社団法人様との共同で、小学校中~高学年とその保護者を対象にした、わかめの食育イベントの実施。
(目的:三陸の水産物やその美味しさを知ってもらい、水産物の消費量を上げること)